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SAP移行時に試みたいアセスメントの内容

2027年に「SAP ERP」のメインストリームサポートが終了するため、「SAP S/4HANA」への移行が急務となっています。しかし、「SAP ERP」の移行時には、システムのアセスメントが必要不可欠です。そこで、本記事は「SAP ERP」の移行におけるアセスメントの必要性や具体的なプロセスについて解説します。

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SAP ERP移行時になぜアセスメントは必要なのか?

SAP社はERPシステムの世界市場でトップシェアを誇るフラッグシップカンパニーであり、国内でも多くの企業が同社のソリューションを統合基幹システムとして採用しています。1973年代に世界初のERPシステム「R/1」を開発し、それ以降も「R/2」「R/3」「SAP ERP」「SAP HANA」とバージョンアップを遂げてきました。

現在は「SAP HANA」をプラットフォームとする「SAP S/4HANA」が現行モデルとしてリリースされていますが、一世代前の「SAP ERP」を利用している企業も多くあります。しかし、「SAP ERP」は2027年にメインストリームサポートが終了するため、「SAP S/4HANA」への移行、もしくは他社のERP製品へのリプレイスを検討しなくてはなりません。そして、ERPシステムの移行を検討する際に必須となるのがアセスメントです。

アセスメントとは?

「アセスメント(assessment)」とは、「査定」や「評価」といった意味合いを持ち、IT分野ではシステム移行の際に動作環境や運用体制を分析・評価する施策を指します。

例えば「SAP ERP」から「SAP S/4HANA」へ移行する場合は、置き換えたり修正したりする機能やデータを特定しなくてはなりません。そして、環境や運用、セキュリティの側面から現状を調査し、あらゆるリスクを想定して万全の移行体制を整備する必要があります。このようなITシステムの移行における現状把握および改善点の抽出プロセスが、IT分野におけるアセスメントに位置付けられます。

アセスメントの必要性

旧システムから新システムへの移行には、数多くのリスクが潜んでいます。例えば、データ移行時のファイル破損や変換作業の失敗、移行の遅延や不具合の発生などが挙げられます。システムの移行プロセスそのものは非常にシンプルで、「旧システムから必要なファイルを抽出して新システムに組み込む」と要約できます。しかし、その移行プロセスには複雑かつ膨大な作業フローが内包されているため、システム移行は新システムの開発と同等の難易度といっても過言ではありません。

移行前に運用環境や利用状況などを把握し、どのデータや機能をどのようにして移行させるかを定義しなれければ、作業は手探り状態になり、手戻りや追加コストの発生、本稼働の遅延につながるのです。また、アセスメントが定義されていなければ、システム移行を依頼するベンダーとの意思疎通にズレが生じ、結果としてコストの高騰や見積り漏れにつながる可能性もあるでしょう。こうした事態を防ぎ、システム移行を成功させるためには、定量的な分析に基づくアセスメントが必要不可欠です。

実際のアセスメントの手順

「SAP ERP」は財務・会計・人事・生産・販売など、企業の基幹業務を統合管理するERPシステムであり、その移行プロセスには複雑な作業が数多くあります。システム移行を成功させる第一歩は、アセスメントを定義するために何をすべきかを具体的に把握することです。ここからは「SAP ERP」の移行における実際のアセスメントフローについて見ていきましょう。

アセスメントフロー

システム移行におけるアセスメントフローは「アセスメント」→「アセスメント結果分析」→「アセスメントセッション」という流れが基本です。

第1ステップの「アセスメント」では、自社のERPシステムの機能要件と非機能要件を分析し、改善点や新機能の要望、移行コストなどを洗い出して事業成長予測を導き出します。第2ステップの「アセスメント結果分析」は、可視化された課題や改善点を整理し、「SAP S/4HANA」もしくは他社製品への移行計画を立案する段階です。そして、第3ステップの「アセスメントセッション」で課題解決の方向性を検討し、移行計画を具体化します。

移行先を絞り込む3つの軸

3つのアセスメントフローにおいて重要となるのが、第2ステップにおけるシステムの移行計画の立案です。とくにシステムの移行先を絞り込むプロセスは最重要課題といっても過言ではありません。現在、「SAP ERP」の運用・管理において課題となっている要素を洗い出し、それを解決可能な移行先を検討する必要があります。移行先を検討する際は「コスト」「業務改善」「テクノロジー」の3要素を分析して自社の経営課題を洗い出す方法がおすすめです。

一般的には「SAP S/4HANA」への移行がベターではありますが、その選択が自社にとってベストとは限りません。例えば、オンプレミス環境の運用・管理コストが負担となっているのなら、クラウド環境への移行も検討するべきでしょう。その場合、Azure上にSAP環境を構築する「SAP on Azure」、もしくはMicrosoftの「Dynamics 365」が主な移行先となります。これはほんの一例ですが、このような観点から移行先を絞り込むことで、自社にとってベストな選択につながるでしょう。

アセスメントを含む移行作業支援サービス

先述したように、システムの移行プロセスそのものは旧システムから必要なファイルを抽出し、新システムに組み込むことですから、非常にシンプルです。しかし、そこには複雑かつ膨大な作業フローがあり、データの破損や消失といったさまざまな移行リスクも伴います。「SAP ERP」から新システムへの移行を思索している企業は、SAP関連の運用・支援サービスやコンサルティングを検討するのも1つの戦略です。

例えば、NTTグループの主要企業であるNTTコミュニケーションズ(以下NTTCOM)は「SAP移行アセスメントサービス」を提供しています。単にアセスメント支援を提供するだけではなく、さまざまな移行支援アプリケーションやネットワーク構成を提案しながら、移行作業そのものをトータルサポートしてくれるサービスです。もちろん「SAP S/4HANA」への移行だけでなく、SAP社の製品以外への移行も総合的に支援します。

まとめ

「SAP ERP」は企業の基幹業務を統合管理するERPシステムであるため、システム移行時のトラブルは致命的と言えます。システムの移行を成功させるためには動作環境や運用体制を分析し、定量的な評価に基づくアセスメントが不可欠です。しかし、自社のリソースによる適切なアセスメントが難しい場合もあるでしょう。その場合は、必要に応じてNTTCOMのアセスメントサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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