SoE、SoI、SoRとは?これからの基幹システムを考えるヒント

 2017.07.10  Dynamics 365編集部

近年「SoE(System of Engagement)」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、マーケティング技術の古典である「キャムズ」の著者、ジェフェリー・ムーアが2011年に発表したホワイトペーパー、「Systems of Engagement and The Furute of Enterprise IT」によって広まった概念です。

これまで企業のITシステムとは、個々に分断化された業務要件を満たすだけのものであり、統合もなく、もちろん顧客を視点にしたシステム設計をなど行うことはありませんでした。一方で、デジタル化社会を背景に顧客や一般消費者のニーズは急速に変化・多様化し、企業は厳しい競争環境に置かれています。

こうした激動のビジネス社会を勝ち抜き、存続するためには、細部に至るまで顧客視点を意識したシステム設計が強く求められるようになりました。顧客視点で全体最適を実現することで、ビジネスニーズへの変化にも迅速に対応し、利益の拡大・維持を目的としています。

顧客視点を取り入れたシステム設計概念として注目されているのがSoEです。SoEには「エンゲージメントのためのシステム」という意味があり、すなわち顧客とのつながりを意識したシステム設計を核にしています。

SoEとSoRの関係は“持ちつ持たれつ”

SoEの類似した言葉に“SoR”があります。これは「System of Rrecords」の略であり、「記録のためのシステム」という意味があります。SoRは社内に従来から存在するITシステムを指すことが多く、分断化されたITシステム環境を指す場合もあります。一見、顧客視点において重要性の低いシステムだと考えがちです。しかし、基幹システムやデータベースといった環境は、実は顧客視点を徹底する上でとても重要です。

そもそもSoEの目的は、顧客視点を取り入れたITシステム設計、並びにビジネス創出を行うことで、顧客との関係構築を目指すものです。「エンゲージメント」という言葉は、マーケティング業界において「つながり」や「絆」といった意味を持ちます(本来は「婚約」などの意)。このことから、顧客とのつながりを作り・維持し、絆を生むためのITシステムとも捉えることができます。

エンゲージメントと言えば、SNSマーケティングにおいてよく耳にする言葉です。SNSマーケティングでは投稿に対して行われたコメントやイイネの数によってエンゲージメント率が決まります。現ゲージメント率が高いほど企業とユーザーの“対話”ができていることになり、すなわち”良好な関係が築けている”ということを意味します。

基幹システムに関するお役立ち資料

SoE、SNSマーケティングでいうところのエンゲージメント率を、様々なITシステムを通じて高める効果があるのです。

SoRを従来からあるレガシーシステムとして、SoEを顧客視点をもとに構築した新しいITシステムと捉える考え方もあります。この考え方は間違いであり、SoEとSoRの正しい関係は“持ちつ持たれつ”となります。

SoRによって構造化されたデータ群は、顧客視点のITシステム設計を行う上で欠かせません。一方でSoEから得た非構造化型データは、SoRに取り込んで構造化し、顧客インサイト(顧客欲求、顧客心理)を分析する上で欠かせません。

SoRの上位概念としてSoEがあるのではなく、2つのITシステム設計概念は、互いサポートし合っている、というのが正しい解釈です。

SoI(System of Insight)を目指す

SoEとSoRに加えてもう一つ、SoIというITシステム設計概念があります。意味は「インサイトのためのシステム」で、単刀直入に言えばインサイトを理解するためのITシステムです。

例えば顧客が持つビジネス上の欲求や行動心理、いわゆる顧客インサイトは、顧客志向のビジネスを実現する上で欠かせない要素の一つとなっています。構造化データと非構造化データを組み合わせて分析し、深い洞察力で顧客インサイトを理解することで、ビジネスに新たな価値を生み出すことができます。

SoIとはいわば、SoEとSoRを組み合わせた、インサイトを理解するための仕組みです。

例を挙げてみましょう。SoRによって構造化されたデータをもとに、Eコマースにおいて“レコメンド機能”を作成します。レコメンド機能は顧客がカートに入れた商品や、購入した商品に応じておすすめ商品を表示します。これは、Eコマースを通じて得たデータをもとに、趣味趣向に近いグルーピングからおすすめ機能を表示しています。顧客からすれば自分に好みに合った商品を表示してくれるので、探す手間が省けるというメリットがあります。これが顧客視点で設計されたSoEです。

SoEによって得た顧客の行動データは、データベースに蓄積されていき、新たな顧客インサイトを理解するための活用されます。こうした一連の流れ、あるいはSoEから得たデータを分析するためのITシステムを、SoIと呼ぶのです。

SoE、SoR、SoIを実現する具体的なITシステムとは

3つのITシステム設計概念を実現するものとして、即座に思い浮かぶのがCRM(Customer Relationship Management)とERP(Enterprise Resource Plannnig)です。

CRMは顧客管理システムといった、顧客情報、商談内容、行動データをなどを記録することができ、なおかつ営業活動を効率良く行うための機能が備わっています。例えばEコマース向けのCRMなら、Eコマースシステムから顧客情報や、顧客ごとに紐づけた購買データ・行動データを得ることができます。

ERPとは数あるITシステム概念の中でも上位のもので、複数の業務システムを統合管理するためのものです。ERPを導入することで、企業は社内のすべての業務システムを連携させ、すべてを一ヵ所で管理することが可能になります。

全業務システムで相互連携のとれた環境は、組織全体の業務効率をアップし(全体最適化)、各業務システムから得た情報を一元管理することもできます。つまり、すべての情報資源を収集し、ビッグデータ分析を行うことも可能です。

CRMならばBI(ビジネスインテリジェンス)と連携することで顧客インサイトを分析することができ、製品によっては顧客インサイト機能を標準装備しています。ERPに至ってはBIを標準搭載していることも多いので、ERPを導入するだけで顧客インサイト分析が可能です。

特にERPは、それだけでSoR・SoR・SoIというすべてのITシステム概念を実現することができるので、顧客視点のITシステム環境を実現するためには、最も近道だと言えるでしょう。

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