ERP導入プロジェクトにおける3つのフェーズとポイント

 2020.03.30  BizApp チャンネル編集部

個別最適化が進んだ従来のシステム環境にはさまざまな問題が起きています。経済産業省では、2025年までにそれらの問題を解決しない限り、日本企業や日本経済そのものが大きな損失を被ることになるだろうと予測しています。つまり、負の遺産とも呼ばれているレガシーシステムを刷新することが、現代企業に急務とされているのです。

その刷新先として注目されているのがERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)です。ERPはビジネスに不可欠な主要な業務アプリケーションを統合し、相互の連携を取ることでシステム環境の全社最適化を目指します。では、ERP導入プロジェクトはどのように進めていけばよいのでしょうか?本記事ではその流れやポイントをご紹介します。

ERP導入プロジェクトにおける3つのフェーズとポイント

要件定義(フィット&ギャップ分析)

業務要件に沿ったアプリケーションをゼロから作るフルスクラッチ開発や、既存のシステム環境を連携させるのとは違い、ERPを導入するということはベンダーによって作りこまれたパッケージソフトウェアを使用します。ERPには多くの標準機能や業種ごとのテンプレートも用意されています。このため、適切に製品を選定さえすれば大部分の業務要件は標準機能で対応できるでしょう。

ところが、業務要件によってはERPの標準機能にフィットしない場合があります。ERPの標準機能が業務要件に対して「適合(フィット)しているか?」あるいは「乖離(ギャップ)しているか?」を検証し、ギャップ部分について解決策を検討するのがERP導入プロジェクトのスタートです。

ERPは幅広い業種で使えるように汎用的に設計されているものが多く、企業固有の業務要件に100%フィットすることはできません。通常は何らかのギャップが発生するので、それを解消するために業務プロセスを変更するのか、必要な機能を追加開発(アドオン開発)するのかを選択します。

2000年代初頭に普及した海外製大規模ERP製品(SAPやOracleなど)は、日本企業固有の業務要件へ対応するためにアドオン開発が膨れ上がり、保守運用負担・費用の増大やシステムの塩漬け状態といった問題を生みました。その時の教訓と、日本企業のグローバル化によって海外製ERPでも業務プロセスを変更することで、ほとんどの業務要件に対応できるようになっています。

また、ERPによっては独自の開発プラットフォームを提供しており、業務要件にフィットするアプリケーションを独自開発しつつ、システムのバージョンロックを防ぐこともできます。

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導入準備

要件定義が完了すれば、その結果に基づいてERPを導入していきます。設計やコーディング作業はアドオン開発する部分のみなので、スクラッチ開発に比べるとかなりの短期間で導入が済みます。アドオン開発は導入ベンダーが主体となって実施されるものの、ユーザー企業が主体となって業務マニュアルの作成やトレーニングの計画・実施、移行用データの整備など本格稼働に向けた導入準備を行っていきます。

中でも特に大切なポイントが、ユーザー企業による検証作業です。ERPは標準機能を使用している部分については基本的な動作を保証していますので、各機能が仕様通り開発されているかを確認するよりも、構築されたERPを使って業務を標準的に遂行できるかという業務視点での検証に重点を置かなければいけません。

ERPの標準機能に業務プロセスを合わせる場合は、システム稼働後の新業務の内容が現行業務から大きく変わることも多いため、システムを使用する事業部門ユーザーによって十分な検証が実施されることが、本番稼働後の混乱を避けることになるでしょう。

まずは事業部門から検証作業に必要なリソースを捻出してもらいます。リソースが確保できないがために事業部門ユーザーによる事前検証が不十分なまま本番稼働を迎えてしまうと、後に大きなトラブルに発展するケースが多数存在します。そうした状況に陥らないために、ERP導入プロジェクト開始当初から、いつどのような作業が発生し、どこにどの程度のリソースが必要になるかを明確にしておき、検証のためのリソースを計画的に確保することが重要です。

本番稼働後の対応

ERPの標準機能を積極的に活用し、なおかつ少ないアドオン開発で業務要件を満たしたとしてもマスターデータ登録の不備や入力ミス等により、システムが想定通りに動作しないケースも多々あります。また、ERPの標準機能に業務プロセスを合わせることで業務内容が大きく変化する部分もあるため、稼働直後のシステムに慣れていない段階では事業部門が混乱することも想定されます。

これらの問題を解決するために、最短で3ヵ月程度まではERP導入プロジェクトとしての体制を維持・継続し、エンドユーザーをサポートする必要があります。導入ベンダーに対しても、提案段階から本番稼働後までのサポートを対象範囲としてもらうことが大切です。

大切なのは、EPR導入プロジェクトの計画段階から要員・費用の面で事前に考慮しておくことです。

海外拠点への展開も含めたERP導入

海外拠点を含めてERPを導入しようという場合、ベースとなるシステムのテンプレートを構築し、それを用いて各国の商習慣や法制度に対応するための設定を追加するような方法を採用するのが基本です。ただし、テンプレートを構築する際は国内企業の業務要件に合わせてむやみに機能を追加開発すると、海外拠点展開の際に国内企業向けに追加した機能が制約となり、海外の標準機能が使えないなどのトラブルが発生します。

海外事業展開では短期間で海外拠点を立ち上げる必要に迫られているケースが多くあります。特にM&Aでは情報が開示されるタイミングが遅く、ERP導入準備にかけられる時間が少ないのが一般的です。短期間での立ち上げに際しあらかじめテンプレートを準備しておけば、マスターを設定するだけでシステムを稼働できることも多いでしょう。

また、2層ERPという新たな概念を採り入れることもおすすめします。これは本社企業で稼働している大規模ERPをコアERPと位置づけ、コアERPと連携可能なクラウドERPを海外拠点やグループ企業に導入し、コアERPとクラウドERPの2層構造によってグループ全体の経営状況を可視化する方法です。

本社企業のコアERPと同様のシステムを海外拠点やグループ企業に導入すると、業務要件の不適合が起きたり衛材的に負担が大きくなったりと問題が発生します。そうした問題を回避しつつ、本社企業とは違った業態と規模を持つ海外拠点やグループ企業にフィットするクラウドERPを選択し、2層ERPを実現することでスムーズな海外事業展開が可能です。

ERP導入を検討しましょう

いかがでしょうか?ERP導入プロジェクトは、急所を押えて取り組めば失敗する可能性は大いに低くなります。まだERPを導入していないという方は、この機会にぜひ導入を検討してください。

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