外観検査を始めるときに考えたい方法について解説

 2021.02.26  BizApp チャンネル編集部

多くの企業で導入されている「外観検査」ですが、検査対象物によって外観検査の方法や、使用する製品などが異なります。そのため、外観検査を始める際は、事前にどのような方法で検査を行うのかを定めておく必要があります。本記事では、外観検査を始める前に知っておきたい予備知識や、外観検査に役立つ製品について解説します。

外観検査を始めるときに考えたい方法について解説

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外観検査とは

外観検査の具体的な手法や役立つ製品をご紹介する前に、まずは外観検査そのものの概要から簡単に解説します。

「外観検査」とは、部品や製品などの品質を維持・保証するために行われる検査のことです。着目する具体的ポイントは対象物によりますが、いずれもその外観である点で共通しています。つまり、外から見て判断できる箇所をチェックするものであり、製品内部や機能面などを確認する作業は含まれません。

主に、検査対象物の表面に付着した汚れや傷、異物、そのほか変形の有無やバリ・欠けといった、外観上の欠陥を見たうえで良否判定を行います。検査の具体例としては、以下のものが挙げられます。

  • 布製品に汚れが付着していないかの確認
  • 食品のパッケージに異物が付着していないかの確認
  • ゴムや樹脂の形成時における欠けの有無を確認
  • 塗装面における艶や色に変色が起こっていないかの確認
  • 指定された形状との差異を確認
  • 加工跡が残っていないかの確認

微細なチリや傷を確認する場合には、特別な装置を要することもありますが、多くは目視検査により実施されます。視覚に限らず、人間の五感に基づく検査方法を「官能検査」と総称しますが、その中でも外観検査は、古くから多くの製造業者などで取り入れられてきた代表的な手法です。

外観検査の主な種類

外観検査は、物の状態を感知する主体に着目した場合の分類です。これに対し、検査工程全体を広い視点から区別すると、「インライン検査」と「オフライン検査」の2つに分類できます。

インライン検査

ライン生産方式によって製造を行っている工場などでよく見られる方法です。多くの製造現場ではこの方式が採用され、製品などが大量生産されています。ライン生産では工程順に設備を並べ、単一製品を効率的に製造しますが、そのラインの一部に外観検査を組み込んだものがインライン検査です。

全数検査(ラインを流れてくるすべての製品を検査すること)に適しており、効率的な品質チェックが実現されます。ただこの場合、目視で対応できるスピードに限界があり、作業者への負担も大きくなります。そのため、不良品を取りこぼすリスクは否めません。

オフライン検査

生産ラインとは別に外観検査を行う方法が、オフライン検査です。インライン検査ほど流れ作業ではないため、精密な検査を行いやすく、高品質が実現されやすいという特徴を持ちます。設備投資も必須ではない分、導入コストも比較的少なく済みます。

ただ、生産ラインがすでに存在している場合には、ラインから製品を運搬する作業が発生しますし、大量生産における全数検査にも向いていません。作業者によって検査の質に差が生じやすいという問題も抱えています。

外観検査の方法

上記でご紹介した外観検査の手法は、昔から一般に取り入れられてきたものです。しかし上述の通り、人的ミスや効率面の問題を抱えていることから、近年では以下の方法にて外観検査を実施するケースが増えています。

検査装置の利用

一口に検査装置といっても、実にさまざまなものが流通しています。ここで特に推奨したいのは、AIを搭載した検査装置です。

従来では、製品のサイズや加圧状態、温度などをチェックするためのセンサーを取り付け、一定基準を超えるかどうかで画一的な処理を行うタイプが一般的でした。それが技術的に容易であったためです。しかし、近年はテクノロジーの発展により、AIの実用化も加速しています。そのため、完全に画一されたルールでしか判断できないものではなく、より柔軟で、より本質的な外観検査ができるようになっているのです。

高精度な画像認識ができればセンサーの数を減らせますし、人の目では発見できないような異常まで検知できる可能性もあります。もちろん、導入には相応のコストを要しますが、不要な人件費を削減できるうえミスも減らせると考えれば、検査装置を導入しなかった場合に比べて多くの利益が得られることでしょう。

なお、この恩恵を受けるためには、AIの性能が高くなければなりません。そのため、装置の選定は慎重に行う必要があります。AIによってタイプはさまざまありますし、学習プロセスも異なります。特定の学習プロセスしか採用していない場合、対応できる欠陥の種類も限られてしまいます。幅広く、かつ柔軟に対応してもらいたい場合は、この点に着目することが大切です。

検査システムの利用

外観検査の工程をできる限り自動化したい場合には、外観の撮像からAIによる画像分析、欠陥検出までの工程が一連のものとして構築された、検査システムの利用を検討してみるとよいでしょう。

前項同様、目視検査に人員を割いている場合には、そのリソースを別の作業に回せますし、人手不足の解消にも役立つでしょう。また、多くの工程が自動化されることで、人的要因によるミスが減るため、定量的な検査の実現も期待できます。

検査ソフトの利用

画像処理などの機能を搭載したソフトウェアを導入するだけで、効率を向上させられることもあります。カメラなどセンサーとして利用するものを用意し、その画像データなどを検査ソフト搭載のPCに取り込ませることで、解析を行います。この方法なら大掛かりな設備が不要で、導入コストを抑えられます。

製品によっては、機械を自動制御するPCLとPCを接続し、測定から解析、そして判定まで行うものもあります。

外観検査に役立つ製品

ここからは、外観検査を実施する際に役立つ製品をご紹介します。それぞれの重要性や選び方も併せて見ていきましょう。

カメラ

検査ソフトなどを利用するにしても、カメラは外観検査の基礎を成す構成要素で、やはり非常に重要です。カメラで撮影した視覚的情報をデジタル化することで、ようやくコンピューターがその状態を評価できるようになるためです。

ただ、カメラにもいろいろな種類があるため、外観検査に適したものを選ばなくてはなりません。特に重要なのは、傷やムラなどを明確に映し出せるものかどうかです。

また、撮影する対象物によって求められるスペックが変わってきますので、何をチェックしたいのか、よく考えたうえで検討しなければなりません。対象物のサイズを検査したいのか、それとも傷の有無や色の違い、素材の違いを判別したいのかなど、目的はさまざまです。そのほか、動くものを対象としているかどうかも重要なポイントです。

そこで、「画素数」「カラー/モノクロ」「フレームレート」などに着目しましょう。画素数に関しては一般的に、これが大きいほど高精細な撮像ができるとされています。細かな部分を検査するなら、画素数の大きなものを選びましょう。

色味の違いを判別する必要があるなら、当然カラーカメラでなくてはなりません。逆に、これを気にしないのであれば、カラーカメラにする必要はありません。単に変形を見たいのであれば、モノクロカメラで十分です。データ容量や精細さの観点からしても、モノクロを選ぶことにメリットはあります。

フレームレートとは「1秒間に撮像される回数(fps)」を意味し、製品によって10fps前後のものから300fpsを超えるものまであります。ライン上を流れる製品や、動くものを撮像するのであれば、そのスピードに見合ったフレームレートにしなければなりません。

照明

次に、カメラではっきりと撮像するためにも、最適な照明を用意しなくてはなりません。というのも、蛍光灯とLED照明では移り方が変わってしまうからです。

従来は蛍光灯などがよく使われていましたが、今ではLED照明が主流とされています。外観検査に適した光を省スペースで設けられるうえ、波長が短い青色照明を使うことで細かい傷も確認しやすくなります。

ほかにも、LEDであれば多彩な色から選択できますし、放射熱も低いというメリットがあります。光沢のある金属表面を見る場合など、反射光の影響が精度に左右するときは、特に照明の選び方に配慮しましょう。

検査装置

検査装置は種類が豊富で、多数の選択肢の中から検査対象物に適したものを選択する必要があります。検査装置の選定では、特にスコープやレンズに着目しましょう。

スコープ

細かな箇所を検査する場合、従来は顕微鏡が広く使われてきましたが、最近ではマイクロスコープに置き換えられてきています。マイクロスコープは顕微鏡に比べて疲れにくいという特徴を持ちます。とはいえ、マイクロスコープも種類が豊富であるため、最適なものを選ばなくてはなりません。特に確認すべきポイントは「フレームレート」と「ダイナミックレンジ」です。

フレームレートが低いと映像が滑らかに動かず、ストレスを感じてしまいます。また、マイクロスコープでは実物をそのまま目視するわけではないため、色味も見る場合には、できるだけ色の再現性が高くなくてはなりません。さらに明暗に差があると、一方が白飛びしてしまう可能性があるため、これを解消するためにダイナミックレンジの広いものを選ぶ必要もあります。

レンズ

レンズは画像処理において、一定環境下で同じ結果を得るために重要な要素となります。こちらも固定焦点やマクロレンズなどさまざまな種類があるため、状況に適したものを選択する必要があります。特に「スペースに制限がある」「撮影対象のサイズが大きい」「高低差がある」場合などは、レンズにもこだわりましょう。

面積が広く、かつ奥行がある場合には「テレセントリックレンズ」を選択するのがおすすめです。通常のレンズだと、中央と端とで見え方が異なる場合がありますが、テレセントリックレンズであれば、この場合でも対応可能です。ただし、比較的広いスペースを要するため、設置可能かどうかも前もって考慮しておかなければなりません。

まとめ

外観検査は品質を維持し、異物の混入などを防ぐために欠かせない工程です。しかし、検査対象物ごとに適した方法の選択が求められるうえ、すべてを人力で行うとなると非効率というほかありません。そこで、AIを活用した検査システムを導入するなどして、効率化を図ることが推奨されます。

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