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グローバリゼーションって何?ビジネスに与える影響を紹介

望むと望まざるにかかわらず、現代社会においてグローバリゼーション(グローバル化)は不可避に進んでおり、その対応や適切な理解はすべての企業にとって重要な課題といえます。そこで、本記事ではグローバリゼーションとは何かという基本的な定義からはじめ、グローバリゼーションがビジネスに与える影響を紹介します。

グローバリゼーションって何?ビジネスに与える影響を紹介

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グローバリゼーションとは何か

グローバリゼーションとは、様々な国が国境を超えて相互につながり、相互依存性を高めていくことを意味します。とりわけ、ビジネスにおけるグローバリゼーションを指すならば、国境を越えて商品・サービス・資本・技術等が往来し、世界規模で経済的交流が加速していくことと定義できるでしょう。以下では、このグローバリゼーションの概要について解説します。

グローバリゼーションと国際化の意味の違い

グローバリゼーションと混同しがちな日本語として「国際化」が挙げられます。国際化とは、「自国と他国」という主客を切り分けた上で、その相互交流・相互作用を促進する概念です。国際化においては、自国と他国の境界(国境線)を厳然と引いた上で、様々な資本・情報等をやりとりし、相互に影響を与え合います。

他方、グローバリゼーションとは、国家や国境という枠組みを超えて考えられるものです。例えば、現代の多くの企業はグローバルにサプライチェーンを構築しているため、遠い国で起きた出来事が回りまわって自社の生産体制に影響を及ぼすことも珍しくありません。つまり、グローバリゼーション(グローバル化)された世界においては、地球規模であらゆる地域の経済が相互依存的に協働しており、自国と他国という区別自体が意味を為さないのです。したがって、経済分野においてグローバリゼーションを考える際には、世界経済という括りで地球規模に物事を見る必要があります。

グローバリゼーションは何故注目されるようになったのか

なぜグローバリゼーションが注目されることになったのかを理解するためには、歴史的な背景に触れなければなりません。

そもそもグローバリゼーションの始まりは、16世紀の大航海時代まで遡ります。この時代はヨーロッパで航海技術等が急速に進歩し、海を越えて広い範囲の地域で商取引が行われるようになりました。日本の種子島にポルトガル人が訪れ、鉄砲やキリスト教を伝来したのもこの時代です。そして、この流れはその後も18世紀の産業革命などを経て拡大し、第一次・第二次世界大戦を経た20世紀以降は航空技術等の発展により、さらに一層広がりを見せました。

そして20世紀後半から現在にかけて、インターネットの普及・発展がグローバリゼーションの段階を別次元に押し上げました。現代のICT技術は地球の裏側にも一瞬で情報を届けることを可能にし、それを利用したサービスはどこにいても享受できます。今では、距離や言葉の壁を飛び越える便利なサービスが生まれ続けており、世界経済の統合性・相互依存性はますます強まってきているといえます。

グローバリゼーションの動きがビジネスにもたらすメリット

グローバリゼーションが世界的に進むことは、ビジネスにとって良い影響をもたらします。以下では、その主なメリットを解説します。

ビジネス範囲が拡大する

グローバリゼーションは、国や企業の経済活動の範囲を飛躍的に拡大する効果があります。例えば日本国内だけで完結してビジネスを展開する場合、その顧客は最大でも1億2000万人程度しかおらず、しかも少子高齢化によってその数は年々先細りしていきます。しかし、海外市場に進出すれば、多くの国・企業においてビジネスを展開できます。日本国内では競合他社に埋もれがちな企業でも、海外に出れば日本企業固有の強みが際立ち、利益アップや事業拡大につながる可能性もあります。

生産コストを削減できる

生産コストの削減が可能となるのも、グローバリゼーションの大きなメリットです。企業にとって大きなコストになるもののひとつとして、人件費が挙げられます。この点、日本よりも平均賃金が低い発展途上国に生産拠点をつくることで、人件費を節減し、生産コスト全体の削減が可能です。途上国としても、海外の資本や技術が自国に入り、自国民の就労場所を確保できることは大きなメリットにつながるため、招致に力を入れているケースもあります。

グローバリゼーションが進むことで発生する課題

グローバリゼーションの進行は上記のようなメリットをもたらす一方で、課題やデメリットをもたらす場合もあります。以下では、その主だった内容を紹介します。

グローバリゼーションに対応できる日本人が少ない

ビジネスにおいてグローバリゼーションを進める中で、日本人が直面しがちなのが、これに対応できる人材が乏しいという課題です。日本人の英語力は、他国と比較して低い水準にあることは周知の事実です。英語は、グローバル社会において標準的に使われている公用語ともいえるものなので、この弱点は海外企業と交渉等を進める上で大きな弱点となります。また、近年は変化してきているとはいえ、島国で育った日本人は外国人と交流した経験が浅いことが多く、文化的な背景の違う人間と交流する経験・スキルが乏しくなりがちなのもグローバリゼーションへの対応の難しさを呼んでいます。

事業リスクが増える

事業リスクが増大するのもグローバリゼーションのデメリットです。成長のための大きな可能性を与えてくれるグローバリゼーションですが、これは自社・自国企業の経済活動に非常な複雑性をもたらすことにもなります。

例えば、日本は外国との貿易交流が活発であるため、マイナス金利などの金融緩和策を実施することで、国内企業の利益率を上げることが可能です。しかし一方で、この施策はやりすぎると国内の雇用機会損失にもつながってしまうという諸刃の剣でもあります。

さらに、先に挙げたグローバル・サプライチェーンの問題も挙げられるでしょう。安い原料を遠く外国から輸入している日本企業は数えきれないほど存在しますが、もしもその国で自然災害や感染症の流行などが起こり、取引先の工場が停止すれば、自社の生産ラインにも大きな影響が出てしまいます。あるいは、文化の違いなどから外国の従業員をうまく制御できず、内部不正などが発生するリスクもあるでしょう。

とりわけ、政治や天災等の外因的リスクは自社でコントロールできるものではないので、万一に備えたリスクマネジメントは常に想定する必要があります。このように、グローバリゼーションをうまく活用するには、繊細なバランス感覚が要求されるのです。

現代社会で求められるグローバル人材の特徴

グローバル社会においては、どのような人材が求められるのでしょうか。以下では、グローバル人材に求められる資質について解説します。

コミュニケーション能力の高さ

第一に求められる資質は、コミュニケーション能力の高さです。たとえ語学力があっても、うまく相手と交流・交渉ができないならば意味がありません。これは日本人同士でもコミュニケーション不全によって容易にトラブルが起こりえることからも明らかでしょう。そのため、グローバリゼーションに対応するには、語学力に加え、相手と円滑にコミュニケーションを取り、成果へとつなげるコミュニケーション能力ないしは交渉能力が求められます。

柔軟な考え方を持つこと

第二の資質は柔軟な考え方を持っていることです。先述したように、グローバリゼーションによって、世界情勢は非常に複雑に変化するようになりました。このような状況に対応するためには、既存の固定観念に縛られることなく、柔軟な姿勢で変化に対応していかなければなりません。もちろん、異なる文化圏で育った相手とうまく人間関係をつくっていく上でも、柔軟性は大切です。新しいアイデアを生んだり、受け入れたりしながらグローバル社会を生き抜いていくためには、柔軟性が非常に大きなファクターになるのです。

まとめ

航海技術の発展により始まったグローバリゼーションは、その後、航空技術やICT等の発展を受けて加速し、文字通り地球規模にまで広がっています。グローバリゼーションはビジネスに複雑性や不透明感を与えると同時に、大いなる発展の可能性をもたらすものです。いずれにせよ、グローバリゼーションは今後ますます進行していくことが予想されるので、これに対応できる体制の構築および人材の育成は、多くの企業にとって急務だといえるでしょう。

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