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DXの推進のポイントとは? 実行の手順や注目されている背景を解説

昨今よく耳にするようになった「DX」ですが、企業にとってDX推進をすることで得られるメリットは多くあります。本記事では概要から重要視されるようになった背景をまず理解した上で、実践する際の手順やチェックしたいポイントについて詳しくご紹介します。ぜひ取り組みの参考にしてみてください。

DXの推進のポイントとは? 実行の手順や注目されている背景を解説

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DX推進の概要

「DX」とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、簡単に言うと「進化するデジタル技術によって人々の生活やビジネスを豊かに変革していくこと」ということを指します。この概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって最初に提唱されたといわれています。そして2010年代、デジタル技術やデバイスが普及するとビジネス的なニュアンスが色濃くなり、積極的に取り組む企業が増えてきました。

直近の日本では、観光庁が2021年、「DXの推進による観光サービスの変革と観光需要の創出事業」としてデジタル技術と観光事業との融合による新しい観光ビジネス創出に取り組んでいます。また、2022年1月に岩手県が主催した「DXの推進と人が集まる地域づくりセミナー」では、働きやすく暮らしやすい街づくりに向けた取り組みを行っている地域の事例が紹介されました。

DX推進とIT化の違い

「DX推進」と「IT化」は似ているようで違いがあるため、ここで説明しましょう。
まずITとはそもそも英語の「Information Technology(インフォメーションテクノロジー)」の略で、コンピューターやネットワーク技術などを総称した用語です。企業がIT化を進める際には、デジタル技術を活用して、作業や業務の効率化を図ることを目的としています。つまりIT化は、組織の生産性向上を「目的」にIT導入やデジタル化を進めることなのです。
一方でDX化は前述したように、企業全体やビジネスモデルを根底から変革していくことが本来の目的です。そのため、組織の生産性向上はあくまで「手段」だといえます。

DX推進が注目される背景

では続いて、DX推進が注目されるようになってきたのは、どのような背景があるのかについて見ていきましょう。

現行システムの見直しの必要性

社内で運用されているレガシーシステムは、さまざまな問題を抱えています。たとえば連携がうまくできず、全社横断的なデータ活用ができなかったり、似たようなシステムを重複管理することで負担が増えていたり、古いシステムを頻繁にメンテナンスしなければならなかったりといったような問題です。そのような状態に陥っていると、業績が上がらず、新しいビジネスを生み出すことも困難になってしまうため、現行のシステムの見直しが迫られてきているという背景があります。
DX化に取り組めばデジタルによる変革が実現でき、市場や顧客のニーズにも応えられるようになるでしょう。そのため、早期にシステムの取捨選択を行い、この期に社内システムを見直して抜本的な変革に乗り出したいと考える企業が増えているのです。

2025年の崖と呼ばれる経済損失予想

経済産業省は2018年に公表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」において、「2025年の崖」という問題を提起しました。それは事業部門ごとにシステムが乱立していることで全社横断的なデータ活用ができないといった課題、また、グローバルなデジタル競争に敗北することでシステムの維持管理費負担が増大し、サイバーセキュリティなどのリスクや事故などによる損失といった課題が含まれます。そして、それらを放置していると、2025年以降、将来的に最大12兆円/年の経済損失が生まれるおそれがあると、警鐘を鳴らしているのです。

DX推進を行う手順

では、課題解決に向け、企業がDX化を進める際の手順について見ていきましょう。

DX推進の目的明確化 と意識共有

まず、「なぜDXを推進するのか?」という目的を明確化します。言い方を変えれば、「DXを推進してどのような企業や組織でありたいのか?」というビジョンを示すともいえるでしょう。ただ目の前の業務効率化を図りたいという目的なのか、もっと先まで見越して、新しいビジネス創出をしたいという目的なのか、ゴールの設定によって選択する手段も異なってきます。
また、その目的については、経営層だけが知っているというのではなく全従業員にも共有し、コンセンサスを得ることが重要です。DX推進は全社一丸となって取り組まなければ高い効果は生まれないからです。

DX推進を用いた解決策を模索する

自社でDX化をしていくことが決定すれば、課題解決に向けどのような方法や施策をとると効果的なのか、調べる必要があります。その際、自社だけで調査したり判断したりするのではなく、他社の成功事例を参考にしてみたり、ノウハウを持った専門家にアドバイスをもらったりすると、DX推進の体制をより強化でき、スムーズに進められるようになるでしょう。

DX推進体制の構築と実行

DX推進には人材を確保し、新たな体制を構築することも非常に重要なポイントです。そのため、社内でDX化を主導する部署やプロジェクトチームなどを設定し、予算の確保を行った上で確実にDX推進ができる体制づくりをしていきます。
もし人事部内に適切な人材がいなければ、IT部門から有スキル人材に協力してもらったり、外部から採用したりすることも一案です。IT系のスキルのみならず、各部署や組織での業務内容を熟知していたり、経営的な視点からも提案できたりするような総合的なスキルを持った人材であればなおよいでしょう。

DXを推進する際のポイント

ここからは、実際にDX推進する場合の重要なポイントを解説します。

経営トップによる社内全体を巻き込んだ改革を行う

DX化推進には、経営層がコミットメントを行い、目的やビジョンを示した上で、各事業部の現場にいる従業員に協力してもらうことが必要不可欠です。また取り組みをスタートさせても、すぐに結果が出るようなことはありません。数年がかりで根気強く行っていく覚悟を持ち、進めていかなければならないのです。つまり、経営層を含むトップがDX推進のリーダーシップを発揮し、全社を挙げて中長期的な目線で取り組んでいくことが重要です。

DXの目的はビジネスの変革であることを理解する

そもそもDX推進の最終的な目的は、単なる業務のデジタル化ではありません。DXの推進とは、デジタル化を通じた抜本的なビジネスの変革、つまり全社規模でビジネスモデルや企業風土までも根底から変革し、市場環境の変化に応じて競争優位性を確立することなのです。経営層や従業員は、この真の目的をぶれることなくしっかり理解することがDX実現の第一歩です。

DXを推進できるIT人材の確保と育成

DX推進にはITに精通した人材の確保や育成は不可欠ですが、日本では、どの企業もIT人材の不足に頭を悩ませています。
そのため、社内でスキル育成のための研修プログラムを充実させたり、外部から有スキル人材を採用したりする取り組みを強化する必要があります。また、人材確保ができたら、経営層が全社を巻き込んだDX推進をコミットすることが重要です。そして、連携や統合が可能なシステム構築を進めていくためにIT人材を適切に配置し、部門を超えた組織改革を断行する必要があるでしょう。

まとめ

DXは、ただアナログな業務をデジタル化するだけでなく、企業そのものやビジネスモデルを大きく変革することが目的です。もしそれができなければ「2025年の崖」問題に直面し、経営が揺るぎかねません。ぜひ本記事で解説した手順を参考に、DX推進の目的をしっかり理解して取り組んでいくようにしましょう。

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