プロセス製造業とは?その特有の課題と対応策

 2020.02.12  BizApp チャンネル編集部

日本のGDP(国内総生産)に占める製造業の割合は約20%です。1つの産業が占める割合としては非常に大きく、日本は名実ともに世界的な「ものづくり大国」だと言えます。そして日本政府は、日本経済再建のカギはやはり製造業にあると考え、2017年には「コネクテッド・インダストリーズ」と呼ばれる政策を打ち出しました。世界経済に強い影響を与える海外諸国から比べると遅れは取ったものの、日本の製造業におけるAI・IoT活用がいよいよ本格化しようとしています。

ちなみにコネクテッド・インダストリーズとは、「企業と企業、機械と機械、人と人などがデータを介して“つながる”世界」を構想したものであり、ドイツ政府のインダストリー4.0の影響を色濃く反映しています。

日本全体が新しい産業革命の波に乗り、経済活性化を促すためにはより多くのビジネスパーソンが製造業について理解し、関わっていく必要があるでしょう。本記事では、数ある製造業の中で「プロセス製造業」について解説します。その概要や特有の課題、それと対応策も確認していきましょう。

プロセス製造業とは?その特有の課題と対応策

プロセス製造業とは?

製造業は大きく2つのタイプに分けられます。それが「プロセス製造業」と「ディスクリート製造業」の2つです。両者の違いをかんたんに説明します。

プロセス製造業

⇒流体を原材料とする製造業のことです。代表的なものが科学プラントや製油工場となります。主に化学薬品や石油などの流体を原料として製造します。

ディスクリート製造業

⇒個体を原材料とする製造業のことです。自動車部工場や電子部品工場など、これらの製造業では固体から製品を造ることを目的としています。

両者の違いをもう少し掘り下げていきましょう。プロセス製造業には「仕掛け品」という概念がありません。流体を原材料として扱うのが基本なため、製造工程を分割して生産することができないのです。流体は時間によって成分が変化していきますし、変化が起きる前に各製造工程を完了させなければいけないため、製造途中のものを一時的に保管するという考え方がないのです。

一方、ディスクリート製造業では生産効率性を高める目的で、製造途中の仕掛け品を在庫としていったん管理することが多々あります。このため、前工程での製造を前倒しで実施して、後工程の生産能力を高めるなどの方法を実践できます。

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プロセス製造業が抱える特有の課題

同じ製造業とはいっても、プロセス製造業とディスクリート製造業とでは扱う原材料や生産する製品に大きな違いがあります。従って、それぞれの製造業が抱える課題も異なってきます。では、プロセス製造業が抱える特有に課題とは何でしょうか?

1. 見込生産、受注生産、個別受注生産など多様な生産形態が存在する

プロセス製造業では、ディスクリート製造業のように生産形態が固定していないのが特徴です。見込生産、受注生産、個別受注生産など多様な生産形態が存在していることで、製造プロセスは複雑になります。また、市場ニーズを見据えて製品を製造したり、顧客ニーズに細やかに対応したりするためには、これらの製造プロセスを能率的に行わなければいけません。

2. 1つの製品を造るために配合やレシピ、製造方法が複数存在する

プロセス製造業では、1つの製品を造るにあたり配合やレシピ、製造方法が異なります。また、原材料の状態によって細かい調整が必用になることから、製造の一定化が難しくコストを圧迫する要因になります。

3. リサイクル品の投入やリワークによって製造プロセスが複雑化する

科学プラントや製油工場では環境問題に直接関わっていることから、地球環境を意識した製造を行います。そのためリサイクル品の投入やリワークが多く、製造プロセスが複雑になってしまいます。

4. 連産品と副産物が生まれる

連産品とは、同一原材料を同一工程で加工し、主副の関係がない2種類以上の製品が生産される場合の生産品を指します。たとえば石油化学工業で原油を分留し、かつ科学的に精製を行うと同一工程からガソリン・灯油・経由・重油などが生産されますが、これらの製品間には「豆乳とおから」のような主副の関係はありません。こうした製品を連産品といいます。プロセス製造業ではそうして連産品と、副産物が多く生まれるため管理が複雑になります。

5. 在庫品質と有効期限の管理がリアルタイムに必要になる

ディスクリート製造における原材料や部品には消費の有効期限がありません。厳密にいえばプラスチック製品の原料は経年と共に劣化しますが、FIFO(先入れ先出し)によって古い原料から消費していくため有効期限を意識することがないのです。しかしプロセス製造業は違います。各原料には有効期限がありますので、在庫のリアルタイム管理が欠かせません。

6. 営業⇔子会社、工場⇔子会社の間で内部取引が多い

プロセス製造業では内部取引が多くなることから、各社の情報が錯誤してしまい適切な取引が行われないケースがあります。

プロセス製造業の課題を解決するERP

上記の挙げたプロセス製造業の課題を解決するために、システム化が欠かせません。そこで必要なのが「ERP(Enterprise Resource Planning)」です。ERPは統合基幹業務システムをいわれ、製造業においては製造プロセス全体と事務処理にかかわるシステムが統合された製品です。生産管理システム、在庫管理システム、販売管理システムなどに加えて会計管理システムなどを統合しており、それぞれのシステムがシームレスに繋がり、相互に連携します。

前述したプロセス製造業における課題の多くは、「情報が整理されていないこと」で起きます。製造工程が複雑で、各工程から出力される情報をうまく収集できないことで、製造工程の複雑化が避けられません。これに対し、ERPがある環境では各システムがシームレスに繋がっているので、情報処理がスムーズに行われます。情報が自動的に収集されれば分析も可能です。それにより製造工程の効率化を実現し、プロセス製造業の課題を多く解決できます。

昨今の製造業におけるERP活用の効果は、それだけではありません。特に注目されているのがAI・IoTとの連携です。製造工程をIoT化することで、プロセス製造業においても多様なデータをリアルタイムに収集できます。これをAIに解析させることで、製造効率化に欠かせない情報を瞬時に導き出すことが可能になります。

製造業におけるAI・IoT活用はすでに始まっており、海外の先進企業ではAI・IoTを活用したサービタイゼーションが始まっています。これまでモノを作ることを目的としてきた製造業において、モノをコトとして販売するのがサービタイゼーションです。ERPにはプロセス製造業において製造工程の効率化を目指せるだけではなく、AI・IoTの活用によって実に様々な効果が生まれます。

多くの製造課題を解決するために、ERP導入をぜひご検討ください。

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