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サプライチェーン問題とは? 意味や将来性について詳しく解説

「生産ラインのストップ」「コスト増大」「供給の断絶」など、サプライチェーンが適切に管理されていないとさまざまな問題が発生します。では、このような問題はなぜ発生するのでしょうか?その問いに回答できるよう、本記事ではサプライチェーンの基本的な概要と問題点、今後の展望などについて解説します。

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サプライチェーンとは?

サプライチェーンの問題を把握する上で、前提となる概要情報と仕組みについて詳しく解説します。

サプライチェーンの概要

サプライチェーンは、供給を意味する「Supply」と鎖を意味する「Chain」を合わせた造語です。製品の供給元からエンドユーザーまでの一連の流れが鎖のように繋がっていることから、この一連の流れをサプライチェーンと呼称しています。
たとえば、自動車の製造・販売では、「自動車の部品供給」「自動車の製造」「出荷」「販売」が一連の流れとなっています。これをサプライチェーンと呼び、これらを統合的に管理する手法をサプライチェーンマネジメントと呼びます。
また、本来のサプライチェーンの意味合いには、「部品作成のための資源調達」も含まれますが、複数の企業が絡んでいて管理が難しいという側面があります。そのため、管理ができる範囲でマネジメントを行い、サプライチェーン自体もその範囲を示すことが一般的です。

サプライチェーンの仕組みについて

サプライチェーンの仕組みを前述した自動車製造から見てみます。製造業の最初の工程は、原材料の調達です。このとき製品の原材料であるモノが配送されますが、それ以外にも現金やデータの流れも発生します。
そして、調達した原材料は在庫として管理され、在庫から製造や加工を行います。製造後、卸売業者や小売店に製品を納品するまでがサプライチェーンの一連の流れです。また、納品後も卸業者や小売店からの発注や需要のデータが発生します。そのため、このような逆方向の流れもサプライチェーンに含まれます。

サプライチェーンで起こりうる問題とは?

サプライチェーンが適切に管理されていない場合に起こる問題を3点紹介します。

コスト的な負担が大きくなる

サプライチェーンの一般的な問題はコストです。たとえば、在庫の管理は、製造に遅延が発生しないように行いますが、予測がうまくできないと余剰在庫が発生します。そうすると無駄な材料の調達、過剰な保管・生産と無駄にコストがかかってしまいます。
また、これを適切に管理するためにサプライチェーンのシステムを導入する企業も多く存在しますが、必要以上に大規模なシステムを構築すると運用コストが増大します。前述した在庫に関するコスト問題が解消されたとしても、結果的にマイナスとなってしまう可能性があります。
また、こうしたコストの増大が起こると、帳尻を合わせるために商品価格を上昇させなければいけない場合があります。そうなると顧客に負担がいくため、顧客満足度が低下してしまいます。

各部門や企業間の連携不足

サプライチェーンは、部門横断的な連携が適切にされていないとさまざまな問題が発生します。前述したコストの問題もありますが、データがバラバラに管理されることによって全体の情報が不透明になります。
よくあるのが、各部門のデータをExcelで管理していて、データ連携も人力で入力するという手法です。この場合タイムラグが発生したり、全体のデータが把握できなかったりします。そうなると急なトラブルに対応ができません。
近年は需要が急激に変動することも多く、情報を掴めていないと突然の大量発注によりすぐに在庫が切れてしまいます。増産するために供給元に納品を依頼しても、そこでも在庫がなく生産が追いつかない可能性があります。そうなると欠品となってしまって、大事な商機を失いかねません。

グローバル化への対応不足

製品を海外展開している企業が日本だけでサプライチェーンを組んでいる場合には、海外に製品を輸出しなければいけません。これではリードタイムが大幅にかかります。
その点、サプライチェーンをグローバル展開しておけば、海外で供給、製造を行ってすぐに納品ができるため、リードタイムの短縮や顧客満足度の向上が狙えます。さらに海外拠点を持って全体で在庫を最適化することで、一箇所で過剰在庫を抱えることなく、急な需要増にも他拠点からの在庫取得で賄える可能性があります。
さらにグローバル展開は、コストの面にも寄与します。現地拠点で供給して製造ができることで選択肢が広がり、コストの最適化が図れるためです。

サプライチェーンで考えられるリスク

サプライチェーンは、鎖のように全てが一連の流れとなっているので、どこかで問題が起こると全体に影響がでる可能性があります。ここではその中でも、2つのリスクについて解説します。

生産プロセスや情報セキュリティに関するトラブル

生産プロセスは、供給されるモノや従事する人によって成り立っています。これらに問題があると生産プロセスに問題が起こります。たとえば、近年起こる問題として挙げられるのが、コロナウイルスによるクラスターの発生です。
工場内部でクラスターが発生すれば、働く人材がいなくなり、当然生産ラインはストップせざるを得ません。また、供給元の稼働が止まっても、生産拠点に影響がでます。特に、自動車のような複数の供給元がある場合は注意が必要です。もし供給元が生産を行っていたとしても、物流が何かしらの理由で遅延や寸断された場合には生産が止まってしまいます。
その他にも、近年ではサプライチェーンのシステム網が攻撃されるという問題も発生しています。この攻撃は、サプライチェーンの中にある中小企業に攻撃を仕掛けて、大元の大企業に不正アクセスするというものです。この攻撃によって機密情報の漏洩が発生しており、サプライチェーンの大元となる企業は提携先の企業のセキュリティにも関心を向けなくてはいけないことがわかります。

紛争や災害におけるトラブル

サプライチェーンのグローバル化には大きなメリットがある反面、デメリットもあります。そのひとつが、国外の情勢に巻き込まれるという点です。国家間紛争などの問題は今でも起こっています。特定の製品の供給断絶や高騰、工場の閉鎖など、いつどのような問題が起こるかはわかりません。
また、全く予測できないリスクとして、自然災害があります。たとえば、2011年の3月に東日本大震災でサプライチェーンが大きな打撃を受けたのは記憶に新しいところです。これは国内だけでなく、海外の災害も当てはまります。そのため、供給元の工場の災害リスクも確認しておく必要があります。

サプライチェーンの今後について

サプライチェーンマネジメントの導入により、メリットとデメリットが改めて浮き彫りになりました。今後は、デメリットやリスクを解消するためにいかにサプライチェーンを構築するかが重要です。
まずサプライチェーンを最適化するために、フレームワークのひとつであるバリューチェーンモデルを適用します。これにより競合他社と自社を比較して弱みをみつけて、問題点の改善が可能です。
また、前述した問題をさけるために、潜在的なリスクの発生に備えてシナリオを作成しなければいけません。「供給元が断たれた場合」「生産ラインが稼働できなくなった場合」「災害が発生した場合」など、それぞれの対策をマニュアル化します。
そして、近年飛躍的に発達しているICT技術をうまく取り入れて、リスクヘッジに活かすことがおすすめです。たとえば、AIによる自動化やBIによる分析、IoTによるデータ取得など、これらを活用することでリスクの低減や業務効率化が望めます。

まとめ

サプライチェーンの合理的な管理と最新技術の利用には、「Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management」の利用がおすすめです。このソリューションは、IoTを活かした統合的な管理とリアルタイムの可視性を実現して、企業がサプライチェーンマネジメントにおいて直面するさまざまな問題に瞬時に対応できるようにします。
インテリジェントなシステムによって在庫は常に最適化され、倉庫業務の自動化も可能です。さらにAI機能によって需要の予測ができるため、急な変動によるリスクも低減します。次世代のサプライチェーン構築に最適なソリューションです。

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