SCMとは?導入メリットとERPとの違い

 2021.04.01  BizApp チャンネル編集部

情報通信技術の進歩によってあらゆる産業が発展する一方、それに比例するかのように市場の競争性は激しさを増しています。そのようななか、製造業を含むさまざまな事業において注目を集めている概念が「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」です。そこで本記事ではSCMの概要や導入メリットについて詳しく解説していきます。

SCMとは?導入メリットとERPとの違い

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SCMとは

「SCM」とは「Supply Chain Management」の頭文字をとった略称で、原材料の調達から製品の販売へと至るプロセスを統括的に管理するマネジメント手法です。製品が消費者の手元に届くまでには「調達」→「生産」→「物流」→「販売」という一連のプロセスが存在します。この供給の流れが鎖のように連なって見えることから「Supply(供給)」+「Chain(連鎖)」=「サプライチェーン」と呼ばれています。原材料の調達から消費者への販売に至る全行程を統括的に管理し、需要予測に基づいた企画・開発を行ない、生産管理や在庫管理の最適化を目指すのがSCMの目的です。現在では、SCMシステムを導入して業務プロセスを再定義することが一般的になっています。

ERPとの違い

ERP」とは「Enterprise Resources Planning」の略称であり、日本語では「企業資源計画」と訳されます。ヒト・モノ・カネ・情報という企業がもつ経営資源を一元管理し、効率的かつ効果的に運用するマネジメント手法です。具体的には財務管理や会計管理、人事管理や営業管理、生産管理や在庫管理など、企業の基幹業務情報を統合的に管理し、意思決定の迅速化や業務効率の向上に寄与します。現在では基幹系情報を一元管理するITシステムを指すことが多く、企業経営において不可欠なソリューションとなっています。

SCMとERPの決定的な違いは対象となる管理領域です。SCMは企業経営における調達から販売に至るプロセスを統括的に管理します。一方、ERPは企業の経営資源を一元管理することによって可視化し、組織全体の業務効率と労働生産性を向上するためのシステムです。SCMの管理領域は企業経営におけるサプライチェーンのみであるのに対し、ERPの管理領域は企業経営全体にまで及びます。端的に言えばSCMは「供給の最適化」という部分最適であり、ERPは「企業経営の最適化」という全体最適を目指すマネジメント手法です。

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SCMがないと発生する問題

SCMによる管理を怠れば、製造から販売に至るプロセスが不明瞭かつ不明確になります。そうなれば原材料の調達状況や生産設備の稼働状況、売上予測や適正在庫など、経営戦略に不可欠な情報を正確に把握できません。事業では定量的な分析に基づいた論理的な経営戦略の立案が求められます。したがって大切なのは情報の正確性と鮮度です。現場・現物・現実の「三現主義」の観点から生の情報を収集し、市場動向や経済動向などマクロ的な観点からの情報収集も欠かせません。また、現場と現物をしっかりと把握できれば、人的リソースを効果的に配分できます。もしもSCMがなければ経営判断の遅れなどを招き、企業の中長期的な業績に大きな影響を与えるでしょう。

SCMを導入するメリット

生産や販売に携わる企業にとってSCMは不可欠なマネジメント手法です。SCMは企業に3つのメリットをもたらします。それは在庫最適化、リソース最適化、コスト削減です。これらについて詳しく解説します。

サプライチェーン全体管理で在庫最適化

在庫とは現金化されることを目的とした棚卸資産です。企業は製品を在庫として保有し、市場に供給することで利益を生みます。在庫の確保は顧客や市場に対する対応力の向上を意味します。したがって、在庫の最適化は非常に重要な経営課題です。過剰在庫はキャッシュフローを悪化させ、企業の資金繰りを圧迫します。反対に在庫不足は販売機会の損失を招きます。つまり、在庫は多すぎても少なすぎても企業の資産損失につながるのです。

SCMは「調達」「生産」「物流」「販売」のプロセス全体を可視化し、原材料や製品の在庫状況をリアルタイムで把握します。サプライチェーン全体をデータとして可視化することで、定量的な分析による需要予測や、正確な販売予測に基づいた在庫の適正化が実現可能です。

また、在庫の適正化がもたらすメリットはそれだけはありません。生産から納品に至るプロセスには一定の時間を要し、これを納品リードタイムと呼びます。常に適正在庫を確保できれば、発注から納品までに必要とされるリードタイムの短縮につながります。納品リードタイムが短縮されれば市場への供給スピードが高まり、市場競争力や顧客満足度の向上に寄与します。

情報を一元管理することでリソース最適化

サプライチェーンのあらゆる情報を一元管理することで、経営リソースの適切な配分が可能です。調達から販売に至る物流の流れがデータとして可視化されることで、業務プロセス全体を俯瞰して見渡せるようになります。そして同時にサプライチェーンにおける課題や問題も可視化されます。たとえば原材料の調達が適切に行われているのか、あるいは生産工場の設備が過不足なく配置されていのかなど、課題が可視化されることで明確な意図をもって業務改善に取り組めるでしょう。

近年の企業経営において重要な経営課題のひとつが人的リソースの最適化です。人口減少と少子高齢化の影響を受け、多くの企業が深刻な人材不足に陥っています。特に製造業はその傾向が顕著な業界です。経済産業省が発行する「2020年版ものづくり白書」によると、大企業の41.9%が人手不足に陥っていると回答しています。また、製造業は若年者の入職者数が減少しているという課題も顕在化しています。こうした人材不足を解消するためには、各拠点への適切な人材配置が不可欠です。SCMはサプライチェーン全体を可視化し、人的リソースの最適化に貢献します。

参照元:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2020/honbun_pdf/pdf/honbun_01_02_01.pdf

物流業務を最適化しコスト削減

企業にとって最も重要な経営課題のひとつが利益の最大化です。そのためには売上高を最大化し、コストを最小化する必要があります。もちろん利潤の追求のみが企業の存在意義ではありません。しかし企業が継続的に発展していくためには収益基盤の強化が必須であり、売上を確保しながらコスト削減を目指すという地道な取り組みが不可欠です。特に製造業は生産工場や在庫保管施設、人件費や光熱費、固定資産税や各種保険料など、さまざまな費用負担を必要とするため、いかにコストを削減するのかが問われます。

SCMは物流業務を最適化し、コスト削減に貢献します。物流における業務プロセスが可視化され、適正な仕入れや小売店への配送タイミングなどを把握可能です。またサプライチェーンが可視化されることで、物流拠点に応じた的確な人員配置や物流業務の標準化が実現します。結果として物流業務全体のコスト削減に繋がり、経営効率の向上につながるでしょう。

SCMを導入する時のデメリット・注意点

SCMはメリットの多い手法ですが、その導入には規模に応じたITインフラが必要であり、相応の導入コストを必要とするといったデメリットもあります。ここでは、SCMの導入におけるデメリットや注意点について解説します。

導入時にコストがかかる

SCMの運用基盤を構築する際に、最も大きなデメリットとなるのが導入コストです。SCMはサプライチェーン全体の流れを管理するためのマネジメント手法であり、一般的に自社のみで完結するものではありません。「調達」「生産」「物流」「販売」というプロセスには子会社や関連会社など、さまざまな企業が関わっています。サプライチェーンにおける業務プロセスを統括的に管理するためには、関わるすべての企業情報を一元管理するためのシステム構築が不可欠です。既存のシステムとの互換性や連携性も考慮しなければならず、非常に複雑かつ大規模なITインフラが求められます。またシステムの運用・保守における管理費用も必要です。

ただし、近年ではITインフラのクラウド化が進んでおり、SCMシステムについてもクラウド型のものが登場しています。これらを活用することで、導入コストを抑えられ、かつ早期に利用環境が整うため、障壁は下がりつつあります。

効率化にこだわりすぎると広い顧客にリーチできない

サプライチェーンの一元管理は業務効率向上に貢献しますが、販売情報や在庫情報のみを注視して作業の効率化や在庫の適正化に取り組むと、かえって裾野が狭くなる可能性があります。経営戦略において重要なのは市場を俯瞰して観察する視野の広さです。時代の変化とともに市場競争性が激化するなか、企業が優位性を確立するためには、大局的な視点から見た経営の全体最適化が求められます。効率化の視点をもちつつも、売れる商品を探す姿勢を忘れないようにすることが重要だといえるでしょう。

まとめ

製造と販売に携わる企業が市場競争の優位性を確立するためには、サプライチェーン全体の最適化が求められます。SCMの効率的運用には「Microsoft Dynamics 365」のようなITソリューションの導入が不可欠です。サプライチェーン最適化を実現するためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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