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テレワークができない理由と回避策について

新しい働き方として注目を集めた「テレワーク」ですが、日本ではまだまだ普及が遅れています。ワーク・ライフ・バランスの向上など、企業にも従業員にも多くのメリットがあるにもかかわらず、なぜテレワークは普及しないのでしょうか。本記事では、企業のテレワークができない理由をはじめ、その解決策について解説していきます。

テレワークができない理由と回避策について

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テレワークの現状

ここ数年でテレワークをはじめ、多様な働き方が注目を集めるようになり、導入する企業も増えはじめています。特に新型コロナウイルスの感染拡大により、さらに導入の流れは加速しています。

総務省が令和元年の時点で行った調査でも、テレワークを導入している、あるいは導入予定があるといった回答をした企業は、全体の約3割に達しています。

まだまだテレワークを実践している企業が主流とまでは言えませんが、年々増加傾向にあるのは確かです。ただ、実施している企業でも導入や運用など、なかなか上手くいっていないという声も少なくありません。

例えば、書類への捺印やサインをするために、わざわざ出社しなければならず、自宅で仕事を完結させられないといったこともあるでしょう。結局、やむを得ず出社したことがあると答えた企業は全体の6割以上にも上ります。

また、テレワークができる仕事であるにもかかわらず、積極的に取り組まない企業も存在します。必ずしも導入しなければいけないものではありませんが、選択肢の一つとして用意することは、従業員にとってもメリットが多く、労働生産性の向上や優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

テレワークをしないリスクとは

導入が進んでいるテレワークですが、なかなかテレワークをしない会社もちろん存在します。テレワークをしないことで生じる代表的なリスクとしては「従業員の満足度低下」「離職率の高まり」などが挙げられます。また出社することで、新型コロナウイルスに感染しやすくなるというリスクも考えられるかもしれません。

ウイルス感染リスクに関しては人命にかかわる問題であると同時に、社会的な評価にも関係してきます。しっかりとした感染症対策が取れていれば、対外的な評価も高まり企業イメージもアップしますが、管理が行き届いていなければイメージダウンを引き起こしてしまいます。

職種によってどうしても導入できないケースもありますが、そうでない職種にも関わらずテレワークを意欲的に取り組まない場合、従業員に不満がたまり、モチベーションが低下した結果、退職を招くこともあり得ます。

後継者不足など、日本の多くの企業が人材不足に悩みを抱える現在、なるべく離職率を抑えて企業イメージをアップさせ、優秀な人材確保をできるようにすることが重要です。テレワークをしないことで生じるリスクは回避するよう努めましょう。

テレワークができない理由

テレワークを導入しないことがリスクになり得ることは前述しましたが、そうはいっても中小企業などでは簡単に導入できない事情もあります。導入不可な理由としては主に以下のようなことが挙げられます。

コミュニケーション面での不安

まずは「コミュニケーション面での不安」です。これまで同じオフィス内で一緒に仕事を進めてきたのに対し、急にそれぞれが離れた場所で仕事をするようになれば、円滑なコミュニケーションが取れなくなるのではないか、という不安から導入に踏み切れないというケースです。
仕事を進める上でコミュニケーションは不可欠であり、必要な質問やアドバイス等が気軽にできなくなれば、業務の生産性が低下することも考えられます。対話ではなく文字でのやり取りの場合、意見が食い違いっていたり、受け取り方に相違があったことに気づかず進めてしまったりすることで、結果的にミスつながる恐れもあるでしょう。

セキュリティが心配

セキュリティが心配という声も多く、特に導入時には、以下の2つが不安要素として挙げられます。

その1つは、システム管理上の問題やリモート接続ねらうサイバー攻撃です。別々の場所で勤務するとなれば、コミュニケーションツールや勤怠管理ツール、Web会議ツールなど、色んなITツールの導入が必要でしょう。しかしそのツールのセキュリティ水準が高くなければ、サイバー攻撃は避けられません。サイバー攻撃の内容が非常に高度の場合、セキュリティ機能が優れていても防げないことがありますが、少なくとも最低限の対策を講じておくことは必須です。

もう1つは、従業員のセキュリティ意識の甘さから生じてしまう人的ミスです。外出先で仕事をするとなれば、PCをはじめとしたデバイス管理には十分注意しなければなりません。会社が用意したネットワークに接続し、フリーWi-Fiは使わないようにするなど、従業員の行動にも配慮が必要です。

システム上の対策を施しても、運用方法が間違っていれば情報漏えいを起こしてしまいます。こうした不安からテレワークが進められない企業も存在します。

設備や環境が整っていない

世の中にはすでに多種多様なITツールが登場しており、きちんと環境さえ整えれば大抵のことは解決できます。しかし、未だにアナログな方法でやり取りや管理をしている中小企業も少なくありません。大手企業と比較すると、やはりデジタル化は進んでいないのが現状でしょう。

テレワークを導入しようにも、環境が整っていなければ、その整備から始めなければならず、場合によっては社内規定の整備等も必要になるでしょう。もちろん整備には相応のコストがかかります。加えてセキュリティ管理の知識を持つ人材もいなければ、整備を進めることすら難しいというケースも考えられます。

勤怠管理が難しい

オフィスに毎日出勤するのと比べて、勤怠管理が難しくなります。誰が何時から仕事を始めたのか、何時まで働いたのか、その把握には工夫を要します。決められた時間きちんと働かない従業員や、逆に残業をし過ぎてしまう従業員も出てくるかもしれません。

また、顔を合わせないため、コミュニケーションが円滑に取れるような体制を整えておかなければ、業務の進捗状況の把握や人事的な評価なども難しくなるでしょう。

これらはきちんと対策すれば解決できない問題ではありません。実際多くの企業が、ツール等を有効活用することで従来と比較して効率的に勤怠管理ができています。他方で、テレワークに意欲的でない企業では、「管理が難しい」と決めつけてしまい、その先に進めなくなってしまう例もあります。

テレワークができない時の回避策

前述した課題を踏まえ、続いては導入が難しいと感じている企業に向けて、ここからはその解決策を紹介していきます。

コミュニケーションツールの導入

テレワークでまず重要になるのが「コミュニケーションツールの導入」です。会話ができなくなることが問題であれば、まずは適切に必要なやり取りが交わせるよう、コミュニケーションツールを取り入れましょう。

ツールにもいろいろな製品があります。基幹システムにチャット機能が付随しているものや、チャットやメールの単一機能を備えた手軽に利用できるものなど種類もさまざまです。

その中でもおすすめなのはチャットツールです。規模の大きなシステムより運用が容易であり、メールに比べてちょっとしたやり取りがスムーズに進めやすいでしょう。グループを作成して、チーム内でのやり取りを共有できるものもあります。

もう1つ、Web会議ツールも活用するとよいでしょう。対話を必要とする場面に有効活用でき、多人数での会議の場では特におすすめです。頻繁にWeb会議を開く必要があるのであれば、チャットとWeb会議が一体となった製品を検討しましょう。

セキュリティ対策

セキュリティ対策もテレワークには必須といっても過言ではありません。ここで大事になるのはツールの選定方法と従業員への教育です。

ツールの選定においては、セキュリティ機能が充実しているものを探すことが大切で、自社で扱う情報の重要度に見合った最適なものを選びましょう。情報漏えいが起こると自社のイメージだけでなく、利害関係のある人すべてに甚大な被害が及ぶことも想定されます。

また従業員に対してはセキュリティ意識を高めるよう研修を実施するなどして、してはいけない行動や適切な情報の扱い方などをしっかり周知しましょう。いくらツールが優れていても、内部の人間が間違ってファイルを送信してしまうと簡単に情報漏えいは発生してしまいます。持ち出し品の盗難や紛失といったことにも対策を講じ、ルールを明確に定めて厳守させましょう。

環境整備

制度として企業に取り入れるだけでなく、実際にテレワークが実践できるよう、環境整備もしなくてはなりません。ツールの導入とも関係しますが、従業員のことを考えてより具体的に整備していくことが必要です。

事前準備として、まず現在の業務の可視化を行いましょう。デジタル化できるプロセスを洗い出し、どうすればテレワークで業務が円滑に進められるのかを考えます。

また、業務用PCやポケットWi-Fiの支給など、自宅でも働きやすいような環境を企業側で準備するとよいでしょう。場合によってはデスクやチェア、マウスといった備品も用意するとさらに業務効率もアップします。本来会社がオフィスを用意するべきところを、プライベート空間である従業員の自宅で代用しているため、丸投げせずにきちんとフォローすることが大切です。

在宅勤務ではなく、サテライトオフィスを活用して就業する場合には、レンタルなどの契約も済ませておかなくてはなりません。

勤怠管理システムの導入

コミュニケーション同様、勤怠管理もテレワークにより難しくなるため、ツールを導入して解決に努めましょう。上手く活用することで、従来と変わらず従業員の労働時間等を把握できるようになるだけでなく、より効率的に管理可能となるでしょう。長時間労働の是正ができたり、残業申請等が容易になったりといったメリットも生まれます。

さらにはチーム・部署全体の業務量や進捗の把握なども可能でしょう。細かな機能は製品によって異なるため、社内のニーズに合わせて選定することが重要です。そしてもちろんこの場合にも、外部からアクセスすることには変わりはないため、セキュリティ対策も入念に行いましょう。

まとめ

テレワークが実現に至らない理由としてはコミュニケーション不足への懸念やセキュリティ面での不安、勤怠管理の難しさなどが挙げられます。しかしこれらの問題はいずれも従業員への教育や、適切なツールの導入などにより解決できるでしょう。悩みを抱えている企業はまずその問題点を洗い出してみてはいかがでしょうか。

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